もっと“経営に近い場所”で。「インハウスエディター」としてできることを考える

制作会社に勤務していたころから、わたしは基本的に受託で仕事をしてきた。つまり「これこれこういう課題があるからどうにかして」「これを世の中の人に伝えたいからカタチにしてよ」などという、“お題”ありきの仕事。

それが当たり前だと思っていたし、その仕事に満足していた。

求められることに対して、その都度、適切なボールを返していく。「第三者視点」を大事に、自分ができる範囲で企業活動をサポートする。役に立てることがあるなら、それでいいじゃん、と。

そんなわたしには、全然わかっていなかったことがひとつ、ある。

 

企業経営とタイミングの、切っても切れない関係

たとえば12月も中盤を過ぎてから「年内になんとか……!」みたいな問い合わせがきたり、いやそれ、この期間で作るのどう考えてもムリですよね!! っていう案件があったり……これまで、それなりにムチャぶり案件にも遭遇してきた。

「いや、もう少し計画的に発注してくれないかな!?」

と、思っていました。つい最近まで。それは計画がちゃんと成り立っていないだけあって、私には関係ない。だからその金額ではムリだし、ましてやこんなスケジュールではお受けできません!

ちょっと傲慢に感じるかもしれないけれど、こうした防衛ラインは、フリーランスにとっては大事なことでもある。

急ぎですか、予算もないんですね。詳細は決まってない。うーむ仕方ないですね、なんとかしましょう。そんなことばかりやっていたら、たちまち身動きがとれなくなって破産するか、過労で倒れるかどちらかだ。

本当に計画性がなくて、とりあえずぽーんと丸投げされるだけの案件もあるしね……。それは、もうちょっとがんばってプランを立ててほしいな、と思うのだけど。

それでも。

この変化のめまぐるしい時代。数年、数ヶ月のスパンでものごとを見て動いていたら、とてもじゃないがビジネスが成り立たない性質の仕事も、確かにあるのだ。すべてが予定通りになんていかない。

会社が急成長し、事業が日々進化していく中で、その都度、必要とされるツールであったり、情報発信の方法だったりが変わっていく。

先月決めたことが、今月は全然違うカタチにブラッシュアップされている、なんてこともある。そして数ヶ月、数週間、ときには数日の遅れが、多大な機会損失を生んでしまうことも。

 

だから「インハウスエディター」をやってみることにした

とはいえ先述の通り、すべてのことを企業の都合に合わせていたら、フリーランスなんてやっていられない。健全な状態を維持しながら納品物のクオリティを担保するには、それなりのプロセスや時間が必要となるからだ。

でもわたしは、もう少し近くで企業活動の支援をしたかった。ライター・エディターとしてのスキルがビジネスに活かせるなら、もっと踏み込んでみたいと思った。経営により近いところ、事業の成長に直接コミットできるところまで。

「そこまでやるんだったら、社員になればいいんじゃない」といわれたこともある。でもそこはあえて、余白を残しておきたかった。私の性格的に、社員として会社の中に一度入ってしまったら、きっと一気に視野が狭くなるから。(それに、もう自由な働き方を満喫しすぎて単純に会社員に戻れない……満員電車ムリ……)

だったらフリーランスのまま、オフィスに定期的に通い、経営陣と適宜コミュニケーションを取りつつ、「インハウスエディター」的な役割を担うことはできないものか。そう、考えるようになった。

 

企業の姿を、どう“編集”して発信していくか

ありがたいことに、ご縁とタイミングにめぐまれ、今、ひとつの会社で「インハウスエディター」を名乗らせてもらっている。年間のミッション、KPI達成に向けて活動をはじめたところだ。仕事の仕方はいろいろと模索している真っ只中だけれど。

役割は、幅広いよね。

  • オウンドメディアの運営・編集
  • コーポレートメッセージの編集・発信
  • 広報・PRツール制作
  • インターナルコミュニケーション
  • 各ステークホルダーへの情報編集・発信
  • コーポレート・ブランディング全般

この役割は「広報・PR」と近いところもあるかもしれない。でもわたしは個人的に、ちょっと違う切り口で捉えている。

日々の企業活動、会社の中で起きるできごとを、「エディター」としてどう編集していくのか。オンタイムで情報発信する。記録し、継承して会社の資産を築く。さまざまな切り口で社会との接点をつくる。企業イメージをつむいでいく。

「編む」「書く」力を使って、できることはもっとあるはず。