「文章を書く」のがライターの仕事だけど、実はいろいろ工程があるんです。という話

自分がずっと当たり前だと思ってきたこと。業界内の常識といわれていること。たくさんあるけれど、実はほんの一歩でも外の世界に出てみると、意外と知られていないことが多かったりする。

ライターや編集、ディレクターの仕事も一緒で、「いまいち、何を頼めるのかわからない」「どんなことをしてくれる人なのか把握できてない」なんてことは日常茶飯事。

先日、なんとなく思いついてTwitterでこんなことをつぶやいてみたら、けっこう反応があって「おおぅ……」となった。

ほとんどは、同業者のみなさんからの「そうそう、そうなんですよ!」という感じの共感だったみたい。

ただそうした反応が一定数あるということは、クライアントや周りの人たちに自分の仕事についてわかってもらえてないライターが多い、ライターの仕事を理解できていない企業が多いってことかもな、と。

だからせっかくなので、あらためて「ライターの仕事のプロセス」を書いておこうかなと思います。

 


ライターの仕事のプロセス

ただし、あくまでも「私の場合」。仕事の仕方にはいろんな流派があると思います。でもたくさんの工程を経ている、というのは共通しているはず。

1:オーダーをヒアリングして、そこから先に進むかどうか判断する

すべてのはじまりはここから。私は入り口のところでヒアリングシートを用意していて、まず「どんな案件か」を整理しています。その際、いくつか見極めないといけないポイントがある。

「どのくらいの難易度か」「どのくらいの期間・工数がかかりそうか」「報酬とのバランスはとれそうか(きちんと利益が出そうか)」……そして、「自分がいま、受けるべきかどうか」。

ライターの守備範囲は人それぞれなうえ、自分で自分の管理をしなければいけないので、いつも迷うところ。

 

2:仕事を請けることを決めたら、情報を集めて整理する

クライアントから提供いただいた資料のほか、関連情報をインターネット上でとりあえずざーっと集めて、読み込む。私は特定の業界に専門特化しているわけではないので、新たな仕事をおうけするごとに業界情報をインプットします。

達成すべきゴールのハードルが高い、課題の難易度が高い、また業務になじみがない……などの場合は、ここがいちばん時間がかかる。

医療や士業など、専門職で通常より準備に時間が必要なジャンルのときは、そのぶんお見積もり金額をプラスオンさせていただいたりして調整してます。

 

3:大まかなコンセプトを設計

ただ話を聞いて文章をまとめている、わけではないんです。まずは取材する前に、目的や得たい成果などをふまえて、テキスト全体の構成だったり、文章のトンマナだったりを考える。それらをもとに、取材で深掘りするポイントを洗い出します。

それを、クライアントに提案して事前にコンセンサスを得ておくのも、絶対に必要な工程。あとになって「なんか思ってたのと違う」ということがないように。(そうなると先方にものすごく迷惑をおかけするうえ、リカバリに3倍、労力がかかるからね)

ちなみにパンフレットをつくるとか、コーポレートサイトをまるごとリニューアルするとか、前工程からがっつりお手伝いするときは「企画・編集・ディレクション」も適宜、必要になります。

 

4:取材する

事前に取りまとめた情報をもとに、必要な取材をする。

 

5:聞いた情報を整理する

取材音声をいったん全部書き起こしたり、事前に整理していた情報とすり合わせたり、追加の調べものをしたり。原稿を書くための素材を準備する。ここが、地味に手間と時間かかるところです。

 

6:文章を構成する

必要な素材がそろったら、決められた文字数のなかで情報をどう伝えていくかを考えます。文章の入口と出口、スピード感やリズム、全体のなかでの情報量の配分など。書くよりも重要なプロセス。ここがしっかりできてないと、執筆中に何度も頭を抱えることになる。

 

7:文章を執筆する

いざ、執筆!! 1回でバッチリ書ける、なんてことは滅多にありません。書き上げてから、なんども推敲を重ねます。

 

8:作成した文章を校正する

誤字・脱字がないか、表記揺れ(同じ文章内で表記がばらついている状態)がないか、誤っている文章はないか、あらためて読み返してチェックします。自分ではなかなか気付きにくいので、私は専門の校正者の方や、アシスタントさんにお願いすることもあります。

 

ここまで経てようやく、納品テキストができあがります!

 


わたしたちライターにとっては当たり前の工程なのですが、「なんとなくは理解してたつもりだけど、ここまで細かくは想像していなかった」という人も、きっといるんじゃないかと思います。

 

仕事をするなかで起きるトラブルは、基本的に「自分の説明不足」と「相手の理解不足」から起こるものだと思います。

「相手が理解してくれない」「要求を聞いてくれない」とお互いに不満を抱えるのではなく、そもそも「当たり前のこと」「常識」なんかない、ということを肝に銘じておいたほうがいいですよね。

 

自分の仕事を振り返ってみると、「そういえばこれ、今までちゃんと説明したことなかったかも……」と反省することが、けっこうあります。

わたし個人の経験上、論理的に説明できることであれば、ちゃんと筋道立ててお伝えすれば、ほとんどのお客様は好意的に聞いてくださいます。

だからできる限り、わたしはわたしの仕事についてわかりやすく伝える努力をおこたらないようにしているつもり。

お客様にも、不安なところ、不明点などがあればどんな些細なことであっても気軽に聞いていただきたいなと思っています。

双方が納得できている状態で、いい仕事、したいですから。

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photo from Snapmart / Ken_Financial