「自社の強みを自分たちで整理できない」果たしてそれは恥ずかしいことなのでしょうか

「今まででいちばん大変だった仕事は?」――普段、取材でそんな質問ばかり繰り返している私ですが、もし自分が聞かれたら、迷わずこう答えます。

「自分たちの会社の広報ツール制作と、情報発信」

私にも約4年くらい、会社員だった時代があったのですが、そのとき、自社の販促ツールやコーポレートサイトなどの企画・編集、ライティングなどを担当していたことがありました。それが、ものすごく大変だったんですよね。普段はさんざん、いろいろな企業さまのあらゆる広報ツールを制作していたくせに。

正直なところ当時は、サービス内容が複雑だから、みんなが好き勝手なこというから、だから大変なんじゃないかーーーー! って心の中で泣いてましたけど(苦笑)

でも経験を重ねるにつれて、あのときに「たいへんだ」と感じた理由は、もっと根本的なところにあったんじゃないか……と思うようになりました。

自分のことを自分で客観視するのはムリ

なぜ、私は自社の仕事を難しいと感じたのか。それは “客観視できなかったから” 、ただそれに尽きるのだと思います。

大きな渦の中で自分が日々アップアップしているのに、「フムフム、この渦は直径何メートルですね」とか、「水質を分析した結果こんな感じでした」とか、「あっちの渦と比べるとこんなところがいいですよ」とか、冷静な分析や判断ができるわけがなかったということ。

これがお客様の会社なら、私は完全に外部から、その“渦”を眺めることができる。だからフラットな視点から必要な情報を集め、それを分析したり、比較したりしながら整理していけるんです。

たぶん、それなりに経験を積んだ今の私でも、どこかの会社に入社して自社サービスの広報に取り組もうとしたら、同じ「大変さ」の壁に突き当たるでしょうね。

「言語化できない」のはある意味、当たり前

そう、自分たちのことを自分たちで客観視するのは、至難の業。広報関係の仕事を受けていると、ときどき「いや自分たちの強みがよくわからなくて……」「サービス内容が整理できてないんですけど……」など、情報が整理できていないこと、それを言語化できていないことを、とっても恥ずかしそうに打ち明けてくださるご担当者さまがいます。

大丈夫です。それ、当たり前ですから。ほとんどのお客様はできてませんから。

そして、それは決して、文章を表面的にまとめる技術だけでカバーできることではありません。ご本人や社員のみなさまの文章力・表現力が乏しいわけではないんです。そのことを、私はもっと多くの方に知っていただきたいなと思っています。

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photo from Snapmart / PEN_coco